東京高等裁判所 昭和50年(ラ)388号 決定 1975年8月05日
抗告人 甲野一郎
右代理人弁護士 笠原力
相手方 甲野二郎
<ほか六名>
主文
本件抗告を却下する。
理由
抗告人は、「原審判を取消し、本件を東京家庭裁判所に差戻す。」との裁判を求め、その理由は別紙のとおりである。
記録によれば、東京家庭裁判所が抗告人と相手方間の遺産分割審判事件において、家事審判規則第一〇七条にもとづき昭和五〇年六月二四日遺産分割実行のため、遺産管理者である弁護士糸賀昭に対し遺産に属する別紙物件目録記載の物件を東洋地所株式会社に二一〇〇万円をもって売却処分するよう命ずることを骨子とする審判をしたことが認められる。
しかし、家事審判法第一四条の規定からすれば、家事審判に対する不服申立は、家事審判規則又は特別家事審判規則に特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合にのみ許されると解するのが相当である。
ところが、本件のように、家事審判規則第一〇七条にもとづいて、遺産分割実行のため遺産の換価を命じた審判に対し即時抗告をすることができる旨を定めた規定は存在しないから、右審判に対する本件即時抗告は不適法というほかない。
よって、本件抗告は却下することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 枡田文郎 裁判官 福間佐昭 日野原昌)
<以下省略>